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2023.12.15

「大内文化 思想をめぐる道」開始のお知らせ

山口市では、現在、香山公園において、国宝瑠璃光寺五重塔の全面改修を契機とした観光誘客事業として、“「大内文化」を花開かせた大内氏のマインドが空間アートに昇華する”を共通テーマに様々な空間アートプログラムを実施しています。

この度、プログラムの一つである「大内文化 思想をめぐる道」の展示を12月23日(土)より開始します。
併せて、展示期間のうち、10日間限定の特別夜間イベントとして、プロジェクションマッピングを開催します。

空間アートプログラム「大内文化 思想をめぐる道」について

「大内文化 思想をめぐる道」は、香山公園塔影の池周辺通路約45mにわたり設置する、「和歌のカーテンゾーン」と、「ステンドグラスゾーン」で構成する空間アートプログラムです。和歌とステンドグラスをモチーフとしたアート作品が、白いひも状のストリングスカーテンと共に空間を覆い、来場者を没入感ある体験へと誘います。

展示期間
【3/19追記】ご好評につき再延長いたしました!
令和5年12月23日(土)~令和6年5月6日(月・祝)まで

展示場所
香山公園塔影の池周辺通路(約45m)
※展示物に直接お手を触れずにご鑑賞ください。展示物に寄り掛かる行為はご遠慮ください。

和歌のカーテンゾーン

歴代当主が勅撰集に入集するなど、和歌に長けていた大内氏。「和歌のカーテンゾーン」では、大内氏歴代当主が詠んだ12首の和歌を題材としたアートとして、金属でかたどった和歌の一文字一文字を、カーテンの様に連ねて展示します。和歌の展示を通して、大内氏の脈々と受け継がれる思想を感じることができる空間を演出します。

寸法

長さ約21m、幅4.1m、高さ2.5m

空間アートに昇華する大内氏歴代当主の和歌12首

「新後拾遺和歌集」(巻第七・雑春歌) 多多良義弘朝臣(大内義弘)
訳:日数だけが経つ、布留の早稲田の五月雨が降る中乾かない袖で取る早苗よ

「新後拾遺和歌集」(巻第十三・恋歌三) 多多良義弘朝臣(大内義弘)
訳:恋しい人と逢う夜でさえまだ乾かしきらない、涙で濡れた私の袖であるなあ。恨むことになれてしまった涙だからであろうか。

 

「新続古今和歌集」(巻第十七・雑歌上) 多多良盛見(大内盛見)
訳:めぐりあはん…月の規則的な運行を念頭にする。我世ふけ行-老いて行く様に秋が更けていく様を重ねる。「はかなき」という把握に収斂(しゅうれん)する。

「新続古今和歌集」(巻第五・秋歌下) 多多良持世朝臣(大内持世)
訳:本歌「立ちわかれ稲葉の山の峰に生ふる松としきかば今帰りこむ」(古今・離別・行平)いまやかよふらん…今は吹きつけているだろうか。夕暮れの声…夕暮れのさびしさをかきたてる風音。

「新続古今和歌集」(巻第六・冬歌) 多多良持世朝臣(大内持世)
訳:さらでだに…千鳥が鳴かなくても涙に袖がぬれる。袖師の浦…出雲国の歌枕か。「袖」を掛ける。「唐ころも袖師の浦のうつせ貝むなしき恋に年のへぬらん」(後拾遺・恋一・国房)

「新続古今和歌集」(巻第十三・恋歌三) 多多良持世朝臣(大内持世)
訳:「行きめぐりあひ見まほしき別れには命もともに惜しまるるかな」(続古今・離別・実資)行きめぐり…時間がめぐって。具体的には、夕方が来て。命をかぎる別…死別。

「新撰菟玖波集」(第一春連歌上) 多多良政弘朝臣(大内政弘)
訳:《前句》深山の陰の春は寂しいことだ。《付句》やっと春になったが、ここは人里はなれた山陰。鴬が「人来人来」と鳴いても、人は誰もやってこない。

 「新撰菟玖波集」(第一春連歌上) 多多良政弘朝臣(大内政弘)
訳:《前句》もし、私が帰るならば花開いた桜は恨みに思うことだろう。《付句》この都を自分の故郷と思い、帰らないでいなさい、春の鴈よ。桜を見ずに帰ってしまったなら、桜が恨むだろう。

「新撰菟玖波集」(第三夏連歌)多多良政弘朝臣(大内政弘)
訳:《前句》薄い袂に吹く風が湿り気を帯びてくる頃である。《付句》蝉の鳴いている端山麓で夕涼みをしている。ちょうどその頃、夕べの風が吹いて蝉のように薄い袂を湿らせることだ。

「新撰菟玖波集」(第四秋連歌上)多多良政弘朝臣(大内政弘)
訳:《前句》風でさえもまだそれと感じさせないほどの、秋が来たことだ。《付句》荻の葉風はまだ秋をはっきりと感じさせないが、その荻の葉の繁る端山には光微かな秋の三日月がでてきた

「新撰菟玖波集」(第六冬連歌)贈從三位教弘(大内教弘)
訳:《前句》水に浮いたまま寝る水鳥は枕をどうしてどのような思いで寝ているのであろうか。《付句》浮き寝の水鳥はどのように寝ているだろうか。雪が払っても払っても袖にさえ降り積もる夜に。

「新撰菟玖波集」(第二十発句下)多多良政弘朝臣(大内政弘)
訳:まあ、これで春だと思って満足しようか。宿の梅が一輪だけ咲いていたことだ。

【参考文献】
「新撰菟玖波集:明応本」横山重・野口英一 校訂
「戦国武士と文芸の研究」米原正義 著
「室町戦国日本の覇者大内氏の世界をさぐる」大内氏歴史文化研究会/伊藤幸司 責任編集
「新後拾遺和歌集」松原一義・鹿野しのぶ・丸山陽子 著/久保田 淳 監修
「新続古今和歌集」村尾誠一 著「新撰菟玖波集全釋」奥田勲 [ほか] 共編

ステンドグラスゾーン

「ステンドグラスゾーン」では、アクリル板を使用したステンドグラス風のアートを展示します。大内氏が、キリスト教や京都などの、様々な文化を柔軟に吸収しながら繁栄していく様子を、白いカーテンに映し出される、アクリル板が放つ色彩豊かな光で表現します。
※安全確保のため、下記施工期間は香山公園内の一部を立入禁止区域として設定します。
立入禁止期間:12月16日(土)~22日(金)

寸法

長さ約25m、幅4.1m、高さ2.5m

特別夜間イベント:プロジェクションマッピングについて

夜の空間演出としてプロジェクションマッピングを開催します。五重塔デザインシートをプロジェクションマッピングのスクリーンとして、大内氏の思想や来訪した歴史上の人物を彷彿とさせる映像を光のアートで表現します。
※詳細は改めて発表いたします。

展示期間
【3/19追記】ご好評につき期間再延長しました!
令和6年1月19日(金)~月6日(月・祝)まで
毎日18時から21時まで
※4月1日からは19時から22時まで実施

開催場所
香山公園